イケメン検事の一途な愛

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出勤前に珈琲を飲みながらネットニュースを見ていると、エンタメニュースに目を疑うような内容が記されていた。

『謎多き女優 来栖 湊、遂にベールが剥がされた!』と題してあり、その内容を読むと彼女の過去の話の一部が書かれている。
この話って、あの日、2人きりで話した内容だ。
なのに、どうして?
もしかして、彼女の事務所があえて公表したのだろうか?
彼女から連絡がないところをみると、そうなのかもしれない。

第三者が口を挟むことでは無いと承知している。
事前に相談されなかったことに少し寂しい感じもするが、仕方ない。
それほどまでに忙しいのだろう。

俺はいつも通りに過ごすことにした。

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その日の昼休み。
携帯電話を開いて固まった。

彼女からのメールで、俺らの会話が第三者に漏れたことが記されている。
彼女の身が大変な状況だというのに、俺は安堵していた。
俺の存在が無視されてなかったという事実に…。

すぐさま彼女に電話をかけるが、留守電に繋がった。
本人の声が聴きたいところだが、きっと対処に追われて忙しいのかもしれない。

彼女からのメールを読み返して、ふと気づく。
これって、まずいんじゃないのか?

彼女の熱愛報道はこれまで数えきれないほど取り上げられていることは承知している。
リアルタイムで知ったわけじゃないが、彼女と付き合うようになって過去の噂話を全てチェックしたくらいだ。
その相手がどんな奴なのか、検索したのは言うまでもない。

『検察官』という職業柄、少しでも気になったことはとことん納得がいくまで調べ上げるのが俺流。
そんな俺が、『志田淳平』という男を調べないわけがない。

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