イケメン検事の一途な愛
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「山ちゃんっ」
カフェを出て、少し離れた場所で待機している山ちゃんに合図を送る。
小走り気味に駆け寄った彼女から紙袋とラテを受け取り、小声で呟く。
「メールするね」
「えっ?」
「シッ」
周りの視線を避けるため、足早にその場を後にする。
「あの人がマネージャー?」
「あ、はい」
「説明しなかったけど、大丈夫?」
「平気です。パパラッチを撒くのに逃げるのはしょっちゅうなので」
「あぁ~なるほど」
店を出る時は腕を掴まれていたが、山ちゃんから荷物を受け取った後は逆に彼の手を掴んで……。
「お車ですか?」
「ん」
「では、駐車場までご一緒しても?」
「ん」
私の歩幅に合わせるように彼は歩いてくれる。
時折キャップの鍔を下げ、顔が隠れるように手まで添えてくれる気遣い。
やはりクールな表情とは裏腹に、彼の素顔はとても優しく紳士的な人のようだ。
駐車場に停めてある彼の車に乗り込んで、山ちゃんにメールを送る。
『屋上の駐車場F2の看板のすぐ下の黒いSUVの車』
『すぐ向かいます』
山ちゃんからのメールを確認して一安心した私は視線を横に向けると、ハンドルに手を乗せ、その手に額を乗せた彼と視線が絡まった。
「で?……この後のご予定は?」
何だろう。
ドラマに出て来そうなシチュエーション。
19時半過ぎ。
スポットライトのように煌々と輝く外灯が彼の顔を艶めかしく照らして。
エンジンを掛けたことにより、車内に音楽が流れ始めた。