イケメン検事の一途な愛


車内は程よく香る程度のムスクの香りが漂い、黒い色調をクールに照らすブルーライトが所々に点在している。
大人の男を感じさせる、ちょっとしたスリル感のある空間。

昼食もゆっくり食べれなかったこともあり、結構お腹は空いてる方だ。
そろそろ山ちゃんが来る頃かな?と思い、辺りを見回した、その時。

「あっ」
「……ん?」
「私、………またしでかしたかも」
「へ?」

あぁぁぁぁ……、やってしまったな、完全に。
彼が困ってるのが見過ごせなかったから後悔はしてない。
けれど、また写真や動画が流出するような振る舞いをしてしまった。

一応、変装らしくサングラスは掛けてるし、ヘアスタイルも全然違うんだけど。
声質は変えられないし、体形も見る人が見れば分かりそうなもの。

「さっきのやり取りを撮られてアップされるんじゃないかと……」
「あ、…………その可能性はあるかもね」

どうしよう。
またまた迷惑をかけてしまった。
私は慣れてるから気にしないけど、彼は一般人。
見合いをセッティングするくらいだから、女優との噂を聞きつけたらご両親が卒倒するかもしれない。

「マネージャーが来たら、対策するように話します」
「大変だね。安心して外も歩けないでしょ」
「……まぁ、慣れましたけどね」
「俺の方は特に気にしないから、そちらが不利になるものだけ対処したらいいから」
「え?」
「仕事柄、嫌味言われたり恨み買ったりすることもあるから、SNSとは見ないし気にしない派だから」

気遣いで言ってくれてるのだとしても、おつりが出るくらい有難い言葉。
彼の優しさにまた触れてしまった。

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