イケメン検事の一途な愛


「うわぁ~なんか生の声聞くとぞくっとしますね」
「え?」
「現役検事の声ですよ。……とある事件の被害者をって」
「フッ」

さっきまで泣きそうな顔をしていた彼女が、瞳を輝かせて俺を見る。
あまりにも無防備すぎるその表情に、ついつい構いたくなる。

横並びでソファに座る二人。
手を伸ばせばすぐに届くその距離に、警戒心を植え付けたくなる。

彼女の背もたれ部分に手をつき、ぐっと近づき体を寄せる。
ミネラルウォーターのボトルに口を付けた彼女がぴたりと止まった。

「そういうセリフはこんな時間にしちゃダメだよ」

彼女の耳元にそっと囁くと、彼女は物凄い勢いで振り向いた。

3センチ。
彼女の鼻と俺の鼻がつく距離。

彼女が顔を横に向けたことで今にも肌が触れそうな距離に、さすがの俺もドキッとしてしまった。

くりっとした瞳が更に大きく見開いて。
完全に動揺してるのが見て取れる。

「キス、………して欲しいの?」

さすがの俺もこのシチュエーションにのまれそう。
とはいえ、確かに美人だし可愛い一面もあるけど。
別に好きという感情があるわけじゃない。

押し倒してどうこうしようとか思いもしない。

ただ、何て言うか。
お互いに知られたくない一面を見聞きしてしまった仲というか。
秘密の共有といえば語弊があるが、とにかく特別な関係なのは確かだ。

頬を赤く染めた彼女。
ネットで飛び交うような『男を手玉に取る』ような人には見えない。
どちらかといえば、小悪魔な一面を持った乙女のような……。
見れば見るほど不思議な人だ。

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