イケメン検事の一途な愛
「そ、そろそろ、帰らないとっ」
急に立ち上がった彼女から、ふわっと薔薇の香りが鼻腔を擽る。
「マネージャーが迎えに来るの?」
「連絡すれば」
「じゃあ、送ってく」
「いいんですか?」
「ん、勿論」
「有難うございます」
俺の言葉に安心したのか、彼女はまた屈託ない笑顔を見せる。
「自宅マンションの周りにパパラッチがいるかもしれないので、着替えてもいいですか?」
「勿論。鏡使うなら洗面所の方がいいか。ついて来て」
既に21時半過ぎ。
夜だからバッチリメイクじゃなくても平気だろうが、女優という職業柄、身だしなみは必須だと思って。
「鍵閉めていいからね」
「べ、別に見られても平気ですよ」
洗面所の電気をつけ、タオルを棚から出す。
強がる素振りも新鮮。
「俺も着替えて来るから」
「あ、はい」
「ごゆっくりどうぞ~」
変に緊張させてしまったことをほんの少し後悔しつつ、俺は寝室へと向かった。
*****
「お待たせしました」
「じゃあ、行こうか」
再び目の前に現れた彼女は、ブラウンカラーの長い髪をしていて、イメージがガラッと変わった。
薄いクリーム色のブラウスに黒地に白のドット柄のシフォンのスカートを合わせて。
つい数分前まではアメリカンドールのような愛らしさがあったのに、今目の前にいる彼女は上品な令嬢のようないで立ち。
「これ、ウィッグなの?」
無意識に彼女の髪に手が触れていた。
「はい」
「女性の恐ろしさが今知った気がする」
「フフッ」