イケメン検事の一途な愛


「そ、そろそろ、帰らないとっ」

急に立ち上がった彼女から、ふわっと薔薇の香りが鼻腔を擽る。

「マネージャーが迎えに来るの?」
「連絡すれば」
「じゃあ、送ってく」
「いいんですか?」
「ん、勿論」
「有難うございます」

俺の言葉に安心したのか、彼女はまた屈託ない笑顔を見せる。

「自宅マンションの周りにパパラッチがいるかもしれないので、着替えてもいいですか?」
「勿論。鏡使うなら洗面所の方がいいか。ついて来て」

既に21時半過ぎ。
夜だからバッチリメイクじゃなくても平気だろうが、女優という職業柄、身だしなみは必須だと思って。

「鍵閉めていいからね」
「べ、別に見られても平気ですよ」

洗面所の電気をつけ、タオルを棚から出す。
強がる素振りも新鮮。

「俺も着替えて来るから」
「あ、はい」
「ごゆっくりどうぞ~」

変に緊張させてしまったことをほんの少し後悔しつつ、俺は寝室へと向かった。

*****

「お待たせしました」
「じゃあ、行こうか」

再び目の前に現れた彼女は、ブラウンカラーの長い髪をしていて、イメージがガラッと変わった。

薄いクリーム色のブラウスに黒地に白のドット柄のシフォンのスカートを合わせて。
つい数分前まではアメリカンドールのような愛らしさがあったのに、今目の前にいる彼女は上品な令嬢のようないで立ち。

「これ、ウィッグなの?」

無意識に彼女の髪に手が触れていた。

「はい」
「女性の恐ろしさが今知った気がする」
「フフッ」

< 41 / 142 >

この作品をシェア

pagetop