離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 いいもの見せて貰ったと楽しそうに言われ、純玲は少し恥ずかしくなる。

「つい、夢中で言い放っちゃいました……でも、後悔はしてません」

「あぁ。よく、がんばったな」

 泰雅はそっと純玲の肩を抱き寄せた。その低く優しい声にふっと力が抜ける。そのことで自分が身体に力が入ったままだったことに初めて気づかされた。

「……はい」

 長年のずっと胸の奥に引っかかっていたわだかまりが、やっと消えた気がする。

(勇気を持てたのは、泰雅さんのお陰だ)

 契約であろうと妻を尊重し、寄り添い、言葉を尽くし、守ろうとしてくれる彼の存在が自分を強くしてくれたのだ。

 純玲は肩から伝わる彼の手の温もりに切ないほど愛しくなり、夫の広い胸に頬を寄せた。

 彼はそれに応えてふわりと抱きしめてくれた。

(私、泰雅さんに出会えてよかった……)

 愛した人の子供を宿せた自分は幸せだ……そう、心から思えた。
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