離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 純玲の見た目はいたって普通だ。身長は160cm、体つきも太ってはいないが痩せているわけでもない。肩甲骨まで伸ばした真っ直ぐな黒髪は純玲の落ち着いた雰囲気を決定づけている。目鼻立ちも華がなく地味だ。
 
 実家の母は『すーちゃんの黒い瞳は髪と一緒でとっても綺麗で魅力的よ』と言ってくれるが、残念ながら親の欲目だろう。
 自分のことをよくわかっているから、彼が見た目では無く『小野寺さんの真面目な仕事ぶりに惹かれた』と言ってくれたのを誠実に感じた。
 彼の明るさに純玲も徐々に心を許し、付き合うことになった。
 彼は交際経験がなく緊張する純玲に引くことなく『純玲のペースで付き合っていこう』と言ってくれていた。
 
 そして交際して半年ほどたった先々月の純玲の誕生日、『君と結婚したいから、ご両親に会わせてくれないか』とプロポーズされた。純玲は幸せな気持ちでそれを受け入れていた。

(肇さんに後で連絡してみようかな。実家に来てもらう日も決めたいし……でも忙しいのよね)
 最近、急に彼の仕事が忙しくなったらしく、残業や休日出勤も多いという理由で会えない日々が続いていた。電話もメッセージもほとんどなくなった。
 気を使いながらこちらから電話をしても『忙しいんだ。ごめん』と疲れた様子で、ゆっくり話すことができない。
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