離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 妻として挨拶に行くならいつもの秘書モードの服装とは変えた方がいいと泉に言われ、アドバイス通り派手過ぎないが爽やかなホワイトベージュのスーツを選んだ。
 いつもきっちりまとめている髪も少し巻いてふわっとしたダウンスタイルにし、メイクもいつものブラウンベージュ系の落ち着いたものから、少しピンク系の入った明るめなものに変えた。

 エレベーターの中の鏡に映る自分の姿は見慣れず落ち着かない。
 横目でチェックしながら純玲は緊張を解きたくて周りに聞こえないように小さく溜息をつく。

 泰雅との生活は順調だ。相変わらず彼は忙しいが、一緒に暮らし始めたころよりだいぶ落ち着いていてきた。

 ただ、少し困っていることがある。
 “自覚”を促された夜から彼は妻を抱くようになった。ただでさえ朝が弱いのに、彼に求められた翌朝、純玲はいつもに増してベッドから出れなくなってしまう。クタクタになるからだ。

(昨日も、だったし……)

 昨晩も熱く求められたことを詳細に思い出しかけ、つい純玲の顔に熱が集まってくる。エレベーターの中で何を考えているんだと、慌てて頬を押さえて落ち着かせる。
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