離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「あ、失礼しました。僕はここの弁護士で、的場(まとば)といいます。
 言うと彼は素早く名刺を取り出し、純玲に手渡す。

「受付はこの奥なのでご案内しますよ」

「ありがとうございます」

 的場は人懐こそうな笑顔のまま言うと、こちらですと純玲を案内してくれる。
 若くて親切な弁護士さんだなと思いながら純玲は彼の後をついて歩く。

 受付があるのは大きな流木のオブジェなどがセンス良く並べられている広い空間で、ホテルロビーのようだった。受付には係の女性が座っていた。

「僕が受付してきます――お名前を伺っても?」
 彼は、受付までしてくれるという。きっと、ここに初めてきた相談者だと思われている。そうでないことをお知らせしなければ。

「白石、純玲と言います……夫と、高梨先生にお会いする約束をしておりまして」

 純玲が答えると、彼は驚いた顔になった。

「えっ、うそ、白石先生の奥さん?」

「は、はい。いつも夫がお世話になっております」

 急に口調が崩れた的場に純玲は慌てて頭を下げる。

「白石先生の奥さんかぁ……好みだったのになぁ」

「え……あの?」
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