俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「昨日は声を掛けられなくて……」
「そっかぁ。それじゃあもう私から早瀬くんにお説教してあげるよ。いつまでも芙美ちゃんのことを避けるのは大人気ないって」
「それはやめてくださいっ」
思わず大きな声が出た。
近くにいる看護師たちが何事かと振り返るので「すみません」と謝罪をすれば、なんでもないとわかったのか彼女たちはまた自分たちの仕事に戻った。
それを確認してから未華子先生に小声で告げる。
「早瀬先生とのことは自分でなんとかします」
智花さんが言っていたように、未華子先生がまだ幸也さんのことを好きなのだとしたら。いったいどんな気持ちで私に幸也さんとの仲直り方法を教えてくれたのだろう。どうして私と幸也さんの結婚を提案したのだろう。
未華子先生の気持ちがわからない。
「大丈夫よ、芙美ちゃん」
未華子先生が私の肩をそっと撫でるので、思わず彼女を見つめてしまった。
「早瀬くんと仲直りできるよ。だからあまり思いつめないでね」
ぽんぽんと私の肩を優しく撫でたあと、未華子先生が静かにこの場をあとにする。
私のことを気遣ってくれる彼女の優しさを素直に受け取ることができず、とても苦しく感じた。