俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
嫌いになって別れたわけじゃないふたりが今もお互いに想い合っているのだとしたら。
智花さんの話がすべて真実なのかは、今ここで幸也さんに確認をすればすぐにわかる。でも、聞くのがこわい。
私のことを好きだと言いながら、心の中ではまだ未華子先生のことを大事に想っているのだとしたら。私はどうすればいいのだろう。
幸也さんには未華子先生の方がお似合いだ。だって彼女はとても魅力的な女性だから。
比べて私は医者になれかった落ちこぼれで、幸也さんの妻としても相応しくない出来損ないだ。
ミネラルウォーターを飲み終えた幸也さんはコップを軽くゆすぎ、キッチンを後にする。そのまま私とは目を合わすことなくリビングを出て行った。
*
「――芙美ちゃん。早瀬くんと仲直りできた?」
翌日、ナースステーションで事務仕事をしていると未華子先生に声を掛けられた。
でも、昨日のことを思い出してしまい、彼女の顔をまともに見ることができない。
「すみません」
口からこぼれたのは謝罪の言葉だった。未華子先生が不思議そうに首を傾げる。
「えっと、それは仲直りできなかったってことなのかな。私の作戦、失敗しちゃった? もしもそうだとしたら、私の方こそごめんね」
「いえ、違うんです」
未華子先生に謝られて、慌ててしまう。