俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
そこでとっさに『結婚を前提に付き合っている恋人がいる』と嘘とついてしまった。バレないだろうと思ったが『きみにそんな素敵な相手がいるならぜひ会いたい』と、興味を持たれてしまい、今さら嘘ですとは言えなくなった。
「それで成田の提案を聞いて、島野と結婚するのは俺にとっても都合がいいと思った。もちろんお前にもメリットがある。だからお前、俺と結婚するのはどう?」
事情を説明してから島野の目をまっすぐに見つめて、彼女の反応をうかがう。
「早瀬先生と結婚。私が……」
島野はグラスの中のお冷をひとくち飲んでから、ふぅと小さく息を吐く。自分のことを落ち着けようとでもしているのだろうか。
グラスをテーブルに戻そうとして、手が滑ったのか倒れてしまい中の水がこぼれた。
「わっ。す、すみません」
途端に島野が慌て出す。幸いにもグラスの中の水が残り少なかったおかげで大惨事にはならず、紙ナプキンですぐに拭き取ることができた。
「お前は意外とドジだな」
さっきも壁の高い位置に折り紙を貼ろうとして、無理に背伸びをしたせいで転びそうになっていた。今も結婚話に動揺しているのかグラスの水をこぼす始末。