俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

普段、成田も含めた三人で食事を取っているときの島野の印象は物静かな落ち着いた女性だったのだが。意外と抜けているところがあるのかもしれない。

テーブルを拭いて濡れてしまった紙ナプキンを端っこに丁寧に置いてから、島野はなにか思うことでもあるのか俺をまっすぐに見つめる。

「でも、早瀬先生は本当にそれでいいんですか。恩師と呼ぶくらいなので、その先生のことを慕っていて、尊敬もしているんですよね」
「まぁ、そうだな」
「きっと素晴らしい先生だと思うので、そんな方のお嬢さんなら同じくらいに素敵な女性だと思うのですが」
「いや、娘はだめ。先生とは正反対のきつい性格だから、俺とは合わない」

神名先生の娘とは医学部時代から何度か顔を合わせたことがある。おそらく島野と同じぐらいの年齢だろう。

自分の意志をはっきりと相手に伝え、時には相手が傷付くようなこともズバズバと言ってくるような女だ。

どちらかというと俺もそういうタイプの人間なので、一緒にいると衝突するのが目に見えいてる。つまり、相性が最悪だ。

だからといって島野と相性がいいかというとたぶんそれも違うと思う。それじゃあどうして彼女に結婚の提案をしたかといえば、成田が島野のことをよく褒めているからだ。
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