俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「どういう意味だ」
思わず語気が強くなると、それがこわかったのか島野の体が小さく跳ねた。あちこち視線を泳がせながら、ぼそぼそっと答える。
「結婚って、私がお見合いを断るために未華子先生が思い付いたことですよね。その提案に早瀬先生が乗ってくれたのは、てっきりその場限りの冗談だと思っていたので」
「そんな冗談言うかよ」
自然と重いため息がこぼれてしまった。
どうやら俺の本気度が伝わっていなかったらしい。まぁ、あのときの俺も随分とあっさりとした態度だった自覚はある。
こちらの事情も島野にしっかりと説明するべきだ。
「俺も結婚を急かされているって話をしたのは覚えているか」
「はい」
島野が弾かれたように頷いた。
「あれなんだけど、俺の場合はお前とは違って、親に急かされてるわけじゃないんだ。医学部時代の恩師の娘と結婚させられそうで困ってる」
二週間ほど前、恩師である神名先生から連絡をもらった。
内容は、自分の娘と結婚してはどうかというもの。その場できっぱりと断ろうと思ったが、神名先生には学生時代にだいぶお世話になったこともあり、断るにしてもそれなりの理由が必要だと思った。