俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「お前のことは成田からよく聞く。仕事は丁寧でよく気が利くし、医者や看護師たちからも頼りにされている。患者の子供たちにも慕われて、その子たちの親からも好印象。つまり、お前はいいやつだ」

真正面から見つめて褒めちぎれば、照れてしまったのか島野が俯いた。

「このままクラークの仕事続けたいんだろ。だったら俺が、お前の父親にそう言ってやってもいい。夫としてな」
「夫……」

島野がゆっくりと顔を上げて、その瞳に俺を移す。

「お前が俺との結婚を受け入れるなら、そういう関係になるだろ」
「そうですね」

俺の言葉に同意しつつも、島野が表情を曇らせた。

「でも、父が納得するかどうか」
「そこは俺がなんとかするから心配するな。昼間の話だと、お前の父親はお前を医者に嫁がせたいんだろ」
「はい」
「それなら俺も医者だから問題ない。俺が必ず結婚を認めさせるし、お前が仕事を続けられるように話もつける」

そこまで言っても島野の表情は晴れない。

「でも、父を怒らせるとこわいです。私はなにを言われても慣れているから我慢できるけど、もしも早瀬先生を傷つけるようなことを父が言ったら……」
「お前はそんなことを心配してるのか?」

島野が俯いてしまった。
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