俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「わかりました。午後は仕事に少し余裕があるので、このあとあかりちゃんの病室に行ってみます」
「そうしてあげて。きっと喜ぶと思うから」

あかりちゃんは呼吸器系の疾患で入院している八歳の女の子だ。入院当初は投薬と安静が必要でベッドに寝たきりの状態が続いていたけれど、治療を続けて今はだいぶ回復傾向にある。

最近ではプレイルームにも足を運べるようになり、壁に飾ってある折り紙に興味を持ってくれたらしい。数日前もお願いされて、あかりちゃんの体調がいいときにチューリップなど花の折り方を教えた。

私は医者でもなければ看護師でもない。医療行為のできない事務員なのであかりちゃんの病気を治すことはできないし、直接的に治療に関わることもできない。

あかりちゃんだけではなく、小児科病棟に入院して病と闘っている子供たちを見ていると、なにもできない自分を歯がゆく思うこともある。

けれど、私のできることで子供たちのためにできることはなんだろうと考え、思い付いたのが得意な折り紙でプレイルームや病棟内の壁を明るく飾ることだった。
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