壊れるほどに愛さないで
ーーーー私と友也は、大学4回生の春に、図書館で出会った。
『此処いいかな?』
頭から降ってきた、低い声を見上げれば、綺麗な二重瞼の男の子が私を覗き込んでいる。
私は、2人がけの窓辺の席に腰掛けていたが、他にも沢山空席があった為、私は、一応後ろを振り返った。
『間違えてないよ、君に声かけたんだ』
『あ……』
私は、何も言えないまま、隣の席に置いていたカーディガンを太腿の上に乗せた。
『あ、ごめん。ありがとう』
いえ、と私は、小さく首を振った。男性に免疫のない私は、広げていた本を持つ掌に汗をかいていた。思わず、両の掌をスカートで擦った。
『そんな緊張されると、申し訳ないな。場所やっぱ移ろうか?』
『だ……大丈夫です』
何故だが、そう答えていた。
『僕は、経済学部の4回橘友也だよ』
『文学部4回の葉山美織です』
『美織か、いい名前。名前で呼んでいい?』
とくん、と心臓が跳ねた。男の子から、名前で呼ばれる事なんて、大きくなってから親以外で初めてだった。
『あ、はい……』
『僕も友也でいいから。で、何読んでるの?』
友也は、ふわりと微笑みながら、隣に腰かけた。
『えっと、鉄道列車密室殺人事件です』
『あ!いいね。それ僕も読んだけど、すごく読み応えあったよ、見事にラスト騙されちゃったし』
『え?博士が犯人じゃないんですか?』
目を丸くした私に、友也は、意地悪く笑った。
『うーん。どうだろ』
『なら博士じゃないんだ……』
『分かんないよ、真実は、最後まで読まなきゃ』
てっきり真犯人が博士だと思ってた私は、思わず眉を寄せていた。それをみた友也が、ぷっと笑う。その笑顔を、何故だか、知っているような不思議な感覚がした。
『何?どしたの?僕の顔についてる?』
『あ、ごめんなさい。何でもないの』
友也は、テーブルに頬杖をつくと、唇を持ち上げた。
『美織って、探偵に成りきって読むんだな』
『えと……恥ずかしい……』
思わず会ったばかりの人の前で、拗ねたような態度をとってしまった自分が恥ずかしくなった。
『此処いいかな?』
頭から降ってきた、低い声を見上げれば、綺麗な二重瞼の男の子が私を覗き込んでいる。
私は、2人がけの窓辺の席に腰掛けていたが、他にも沢山空席があった為、私は、一応後ろを振り返った。
『間違えてないよ、君に声かけたんだ』
『あ……』
私は、何も言えないまま、隣の席に置いていたカーディガンを太腿の上に乗せた。
『あ、ごめん。ありがとう』
いえ、と私は、小さく首を振った。男性に免疫のない私は、広げていた本を持つ掌に汗をかいていた。思わず、両の掌をスカートで擦った。
『そんな緊張されると、申し訳ないな。場所やっぱ移ろうか?』
『だ……大丈夫です』
何故だが、そう答えていた。
『僕は、経済学部の4回橘友也だよ』
『文学部4回の葉山美織です』
『美織か、いい名前。名前で呼んでいい?』
とくん、と心臓が跳ねた。男の子から、名前で呼ばれる事なんて、大きくなってから親以外で初めてだった。
『あ、はい……』
『僕も友也でいいから。で、何読んでるの?』
友也は、ふわりと微笑みながら、隣に腰かけた。
『えっと、鉄道列車密室殺人事件です』
『あ!いいね。それ僕も読んだけど、すごく読み応えあったよ、見事にラスト騙されちゃったし』
『え?博士が犯人じゃないんですか?』
目を丸くした私に、友也は、意地悪く笑った。
『うーん。どうだろ』
『なら博士じゃないんだ……』
『分かんないよ、真実は、最後まで読まなきゃ』
てっきり真犯人が博士だと思ってた私は、思わず眉を寄せていた。それをみた友也が、ぷっと笑う。その笑顔を、何故だか、知っているような不思議な感覚がした。
『何?どしたの?僕の顔についてる?』
『あ、ごめんなさい。何でもないの』
友也は、テーブルに頬杖をつくと、唇を持ち上げた。
『美織って、探偵に成りきって読むんだな』
『えと……恥ずかしい……』
思わず会ったばかりの人の前で、拗ねたような態度をとってしまった自分が恥ずかしくなった。