壊れるほどに愛さないで
『ねぇ、美織。此処からの景色いいよね、落ち着く』
『あ、私も此処からの景色好きで、いつも此処に座ってて』
『うん、知ってる』
思っても見なかった友也の返事に、私は、きょとんとした。
『え?』
『《《いつも》》、此処で見かけてたから。今日は話しかけてみようと思ってさ』
さらりと言われた友也の、『いつも』のフレーズを、頭で繰り返して、戸惑ったのを覚えている。
私が、通っていた図書館の前の中庭には、ピラミッド型のモニュメントを取り囲むようにして、春夏秋冬を感じられる季節の花々が植えられていた。春は、チューリップやパンジー、夏は、ひまわり、秋は、コスモスや桔梗、冬は、シクラメンと季節の移り変わりを感じながら、読書をするのが好きだった。ピラミッド型のモニュメントは、三角形の頂点に丸い文字盤が取り付けられて、太陽の光に連動して、時間がわかる仕組みになっており、私は、ピラミッド型のモニュメントの時計の文字盤が、17時を指し示すまで、ほぼ毎日図書館に入り浸っていた。
『綺麗だなぁ……』
友也は、頬杖をついたまま、空に向かって咲く中庭のパンジーを静かに眺めていた。その瞳が何故だが、寂しげで、私は本を読むフリをしながら、友也を見つめた。
『パンジーの花言葉って知ってる?』
私の視線に気づいたのか、友也が二重瞼を細めながら、私に訊ねた。
『え?あ、私、お花見るのは好きなんですけど、花言葉は詳しくなくて……』
友也は、クククッと笑った。
『興味ないって言えばいいのに。美織は優しいね』
友也は、それ以上、パンジーの花言葉について話すこともなく、私に微笑むと手元の本を捲り始めた。
『あ、私も此処からの景色好きで、いつも此処に座ってて』
『うん、知ってる』
思っても見なかった友也の返事に、私は、きょとんとした。
『え?』
『《《いつも》》、此処で見かけてたから。今日は話しかけてみようと思ってさ』
さらりと言われた友也の、『いつも』のフレーズを、頭で繰り返して、戸惑ったのを覚えている。
私が、通っていた図書館の前の中庭には、ピラミッド型のモニュメントを取り囲むようにして、春夏秋冬を感じられる季節の花々が植えられていた。春は、チューリップやパンジー、夏は、ひまわり、秋は、コスモスや桔梗、冬は、シクラメンと季節の移り変わりを感じながら、読書をするのが好きだった。ピラミッド型のモニュメントは、三角形の頂点に丸い文字盤が取り付けられて、太陽の光に連動して、時間がわかる仕組みになっており、私は、ピラミッド型のモニュメントの時計の文字盤が、17時を指し示すまで、ほぼ毎日図書館に入り浸っていた。
『綺麗だなぁ……』
友也は、頬杖をついたまま、空に向かって咲く中庭のパンジーを静かに眺めていた。その瞳が何故だが、寂しげで、私は本を読むフリをしながら、友也を見つめた。
『パンジーの花言葉って知ってる?』
私の視線に気づいたのか、友也が二重瞼を細めながら、私に訊ねた。
『え?あ、私、お花見るのは好きなんですけど、花言葉は詳しくなくて……』
友也は、クククッと笑った。
『興味ないって言えばいいのに。美織は優しいね』
友也は、それ以上、パンジーの花言葉について話すこともなく、私に微笑むと手元の本を捲り始めた。