壊れるほどに愛さないで
「貴方だって、これ以上盗撮されたくないでしょ?だったら、さっさと雪斗から手を引いて。じゃないと……後悔することになるわよ」

「盗撮って……?!桃葉さんが、撮ってたんですか!」

私は、マリア像を指差した。

ーーーーイニシャルは『M』。

桃葉の『M』?

桃葉が、私を睨むと、小さく舌打ちした。

「いい?その写真の事もあたしに会った事も雪斗には、言わないことね。雪斗に、何かされたくなかったら。最後の警告よ」

「待って、桃葉さんっ」

タンタンタンと会場入り口の方から足音が聴こえてくる。

雪斗かも知れない。
咄嗟にそう思った。

それは、桃葉も同じだったのかもしれない。桃葉は、パーカーのフードを、さっと被ると会場の出口へと足早に消えていった。
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