壊れるほどに愛さないで
美織に、見送られながら、僕は営業車のエンジンをかけ、いつもの慣れた道を走っていく。
僕は、自宅マンションから30分ほどの医療機器メーカーに勤めている。はっきり言って仕事など、何でも良かったが、それでも、就活の際に医療機器メーカーにしたのは、自分の中に僅かな後悔があるからだろうか?
「美野里……」
車を走らせながら、車窓から見えたコスモス畑にふと目を奪われた、僕は彼女を思い出す。
「会いたい……」
車内で思わず溢れた声は、誰にも届くことはない。
そう、わかっていても、つい言葉は漏れ出した。
長い黒髪に黒い大きな瞳で笑う顔が、僕の心をいつまでも抱きしめる様に離してはくれない。
ーーーー彼女は、白いコスモスが好きだった。
花言葉は、『純潔』、清廉な彼女にぴったりの花だと思っていた。そして願わくば、いつか彼女の隣で、真っ白なコスモスを見たい。僕だけを見つめて、笑って欲しい。臆病な僕は、言葉に出せないまま、いつもそう願っていた。
彼女に僕だけを見て欲しくて、僕だけに話しかけて欲しくて、僕だけを愛して欲しかったから。
スラックスの中のスマホが震えて、僕はハザードランプを点けると、路肩に営業車を停めた。
会社から支給されているスマホならば、すぐに電話に出るのだが、個人で契約しているスマホに表示された液晶画面を眺めながら、少し間をおいて、僕は電話に出た。
僕は、自宅マンションから30分ほどの医療機器メーカーに勤めている。はっきり言って仕事など、何でも良かったが、それでも、就活の際に医療機器メーカーにしたのは、自分の中に僅かな後悔があるからだろうか?
「美野里……」
車を走らせながら、車窓から見えたコスモス畑にふと目を奪われた、僕は彼女を思い出す。
「会いたい……」
車内で思わず溢れた声は、誰にも届くことはない。
そう、わかっていても、つい言葉は漏れ出した。
長い黒髪に黒い大きな瞳で笑う顔が、僕の心をいつまでも抱きしめる様に離してはくれない。
ーーーー彼女は、白いコスモスが好きだった。
花言葉は、『純潔』、清廉な彼女にぴったりの花だと思っていた。そして願わくば、いつか彼女の隣で、真っ白なコスモスを見たい。僕だけを見つめて、笑って欲しい。臆病な僕は、言葉に出せないまま、いつもそう願っていた。
彼女に僕だけを見て欲しくて、僕だけに話しかけて欲しくて、僕だけを愛して欲しかったから。
スラックスの中のスマホが震えて、僕はハザードランプを点けると、路肩に営業車を停めた。
会社から支給されているスマホならば、すぐに電話に出るのだが、個人で契約しているスマホに表示された液晶画面を眺めながら、少し間をおいて、僕は電話に出た。