壊れるほどに愛さないで
「おはよう御座います」
「あ、美織おはよ」
友也に送ってもらい、事務所野扉を開ければ、
すぐに和が、こちらに笑顔を向けた。
私は、パソコンを叩いている雪斗の隣に座りながら、益川部長や同じチームの営業マン達にも挨拶をしていく。
「葉山ちゃん、おはよう」
「おはよう御座います。あの、部長、少し体調が悪くて、病院に行きたいので、午後休いただいても良いでしょうか?」
「え、大丈夫?」
益川部長が、パソコンから顔を上げ、私の顔をじっと眺めた。益川部長には、入社してすぐに心臓移植の事を話している。
「はい、少し目眩がして」
「分かった、無理しないようにね」
「すみません……ありがとうございます」
私は、小さくお辞儀をするとデスクに座り、パソコンの電源を入れる。すぐに雪斗が私の方を向いた。
「美織さん、おはよう御座います」
「あ、おはよう御座います」
「ちょうど、俺、コーヒー淹れに行きますけど、美織さんのも淹れてきますよ」
「あ、待っ……」
「体調悪そうなんで、カフェインレスにしときますね」
雪斗は、立ち上がると、私のマグカップを片手に返事も聞かずに給湯室へと歩いていく。
おそらくワザとだ。
私が、朝からなるべく雪斗の方を見ないようにしているから。
その理由を知りたくて、私が、追いかけてくるのを分かった上で、強引にマグカップを持っていったのだろう。私は、すぐに雪斗の後ろ姿を追いかけた。