壊れるほどに愛さないで
「ちゃんと、俺に……話してほしい」

しばらく俯いていたが、美織が、小さく頷いた。

「雪斗……あのね、昨日……ストーカーから非通知で電話が、かかってきたの……」

「え?美織に?」

「うん……私、どうしても犯人を突き止めたくて……タクシー乗らずに……一人でワザと暗い道で帰ったの」

「……何でそんな危険なことっ」

「こめんなさ……痛っ」 

思わず美織の細い肩に指が食い込んで、俺は、慌てて力を緩めた。

「ごめんっ!つい心配で……ごめんな」

「うん、大丈夫……」

「俺さ、美織の事、怒ってる訳じゃないから……それで……?」

「うん……でも、結局変装してて、雪斗の言う通り、声も変えられてて、誰か分からなかった。でね、殴られて、車に引き込まれそうになった所を……友也が……助けてくれたの……」

俺は、橘友也の話と辻褄が合っていることに安堵すると共に、自分の不甲斐なさに心底、腹が立つ。

「橘友也は、ストーカーじゃないってこと?間違いない?」

美織は、こくんと頷くと俺を見上げた。

「友也ね……」

真剣な瞳の美織が、何を言おうとしてるのか分かった俺は、黙って美織の瞳を見つめた。

ーーーー(橘友也は、美野里の従兄弟だ)

「友也、美野里さんの、《《弟》》だったの。血のつながらない姉弟だったの……」

「え?……血のつながらない……弟?」

思わず、驚きの声が漏れた。

美野里からは、『ともくん』即ち、橘友也は、従兄弟だと聞いていたから。それに昨日、俺が、従兄弟だと行った際も橘友也は、否定しなかった。

でも、橘友也は、肯定もしていない。
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