壊れるほどに愛さないで
桃葉は、不機嫌を露わにすると、私の方へ一歩にじり寄った。

──恐らく、昨日の事は、桃葉は無関係だ。でも、桃葉がどこまで関与していて、どこからが桃葉と手を組んでいる男の独断なのか知りたい。雪斗を守るためにも。

「ふざけてるのは、どっちですか?雪斗に危害を加えるからと脅してきて、私を襲わせたじゃないですか!あなた達のしてることは犯罪ですよ!」

語尾を強めて、桃葉の方へと一歩踏み出した私に、桃葉の大きな瞳が見開かれるのが分かった。

「え?雪斗に危害を加える?何のこと?それに、襲われた……って、昨日?」 

(やっぱり、桃葉さんは知らないんだ)

「昨日……ヘリウムガスで変声した人から、私に電話があったんです。雪斗に危害を加えられたくなかったら、一人で帰ること……そして、黒いフードを被ったサングラスに黒マスクの男に、殴られて……車で拉致されそうになりました……たまたま、婚約者が助けてくれて、未遂に終わりましたけど」

「拉致……って、それに、彼は、雪斗に何かするつもりなのっ?!」

桃葉の爪が、私の肩に食い込んだ。 

(彼……やっぱり桃葉さんは、犯人であろう男を知っていて、繋がっている)

「わかりません、でもっ、桃葉さんが、繋がっている、その男は、雪斗に何するかわからないんです!だから……だから教えてください!桃葉さんが、繋がっている男って誰なんですか?!」

「し、知らないわよっ」

「じゃあ、マリア像の写真を撮ったMは、誰なんですか?その男ですか?それとも桃葉さんなんですか?!」

「違っ……あたしじゃない!それに大体あたしは、雪斗を傷つけるつもりなんてない……あたしは、ただ……」

(マリア像の写真を撮ったのは、桃葉さんじゃない。じゃあ、あのマリア像を撮ったMは、誰?)
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