壊れるほどに愛さないで
やきもちを妬くまではいかなくとも、ほんのちょっぴりだけ、やっぱり胸は、ちくんとする。

(本当、綺麗な人だな……)

食い入るように写真を見つめながら、友也の顔が頭を過る。

友也は、基本的に、ほとんど自分のことを話さない。聞けば、答えてくれるのだけれど、自分のことを積極的に話すタイプではないし、あまり聞いて欲しくないような気がして、私から友也の事を、根掘り葉掘り聞いたことは、ないかもしれない。

だから、友也の人間関係や前に付き合っていた恋人の話も、聞いた事がなかった。

裏返せば、写真を撮った日付けが、記載されていた。

ーーーーちょうど今から4年前の日付だ。

(やっぱり、友也の元カノなのかな)

でも、仮にそうだとすると、別れて半年後には、私と交際を始めたことになる。

という事は、友也の性格から考えると、相手の方から、別れを告げたという事なのだろうか。


『美織は、名探偵だな』 


いつもミステリー小説を読みながら、稚拙な推理をアレコレ披露する私を、友也は愉快そうに眺めながら、唇を持ち上げる。

『真実は最後まで読まなきゃ、分からないよ』

『分かってるけど、犯人を当てたいんだもん』

ふと、そんなたわいもない会話のやり取りを思い出して、私は可笑しくなった。


「あれ?美織ちゃん?」

「え?」

頭上から降ってきた声を見上げれば、見覚えのある、長身の男性看護師が立っている。
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