壊れるほどに愛さないで
僕は、美織との待ち合わせ場所の駅で、ハザードランプを付けたまま、営業車の中から、美織の姿を探す。

「やけに時間かかってるな」

スマホを何度も確認するが、美織からメッセージの返事はない。

美織と付き合って三年。

美織は生理不順ではない。今朝、美織に触れたとき、美織の脈、鼓動共に通常より早かった。そして、体温は高めで一見風邪っぽい症状だが、咳や鼻水もない。また吐き気と食べ物の好みの変化……。

(妊娠……してるだろうな)

僕は唇を噛み締めながら、スラックスのポケットに手を突っ込んだ。その中には、小さな箱がちゃんと入っている。

「ほんと……僕は、美織には相応しくない。でも……譲れない……美織ごめん」


──プルルルッ

僕は、液晶画面に表示された名前を見るとすぐにスワイプする。

「もしもし」

『もしもし。待野だけど。資料から、二人割り出した。いまから送る』

「了解」

僕は、電話を切るとすぐに待野雪斗から送られてきた画像を確認する。送られてきた画像は全部で三枚。

一枚は集合写真、もう二枚は集合写真からアップにして画像を鮮明にした写真が二枚送られてきた。

待野雪斗に協力を求めて良かった。そして、あの膨大な写真からこんなにも早く照合してきたという事は、おそらく待野雪斗と僕の考えは同じだろう。
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