壊れるほどに愛さないで
「……その赤髪の男で間違いないんだよな?」
俺の電話の向こう側の声も戸惑っているのがわかる。
──それもその筈だ。俺は、橘友也から送って貰った美野里の高校の創立記念パーティーの集合写真と、俺の卒業アルバムと所属していた写真サークルの集合写真を照合して、犯人である可能性のある男として27期生の写真サークルに所属していた二人を割り出したが、犯人だと思った男は茶髪の方だ。
『とにかく、美織がそう言ってる。あとそのマリア像の写真のM分かる?』
「……少し時間がほしい」
いま、この電話で写真のMと犯人を結びつける事が出来るかと問われても、すぐには返事ができない。
『分かった。僕はいまから、仕事片付けて美織の着替えを取りに帰ってから病室に泊まる。明日から有給取って、美織には僕が付き添うのでご心配なく』
美織には橘友也が泊まりで付き添う、か。
美織が俺にそれを許してくれるのなら、俺だってそうしたい。
「それは美織の希望?」
嫉妬が思わず口を突いて出た。
『当たり前だろ。隣に僕がついてれば犯人だって迂闊には手を出せない。美織は僕が守るから』
俺は掌を握りしめる。たしかに病院という場所柄、更には橘友也が寝泊まりするのであれば、美織にそう簡単に手出しはできない筈だ。
でも俺も美織に会いたい。声を聞いて安心したい。