壊れるほどに愛さないで
「友、也……」

「久しぶりだね、待野さん」

「えと……橘、先生?」

目の前の友也は白衣を着ていて、見れば『鈴木総合病院 医師 橘友也』の名札をぶらさげている。

「美織に……あ、待野さんに先生って呼ばれると恥ずかしいな」

友也が困ったように眉を下げた。

「えと、前みたいに……名前で……」

私も友也に待野さんと呼ばれるのは、なんだかむず痒い。

「分かった、本当はダメだけどね。じゃあ早速、美里ちゃん、もしもしさせてね」

美里は困ったような顔をしながら、洋服を捲り上げた。友也は美里ににこりと微笑むとすぐに聴診器を当てていく。

「大丈夫だよ、こわくないからね。心臓が元気か、お話させてね」 

「ケホケホッ……いたく……ない?」

「うん、痛いことしないよ」

友也は慣れた手つきで聴診器で胸の音を確認し、喉も合わせて診ると美里に目線を合わせて、頭をポンと撫でた。

「はい、もうおしまい。痛くなかったでしょ?」

小さく頷くと、美里はすぐに私の胸元に顔を埋めた。

「美里ちゃんか。すごくいい名前だね。あとお父さん似だね」

「よく……言われるかな」

「だろうね」

友也は目だけで笑うとパソコンに美里の症状を細かく入力していく。
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