壊れるほどに愛さないで
私が、ミネラルウォーターを買う間、男性は、私を待っているかのように、コーヒーを飲みながら、側から離れない。

「あの……えっと……」 

ミネラルウォーター 片手に、背の高い男性を見上げた私に、男性がふっと笑った。

「今からお仕事ですよね?俺、営業で車そこ停めてるんで送りますよ」

「え?何で仕事って……」

「ごめんなさい、ネームホルダー見えちゃって」

手に持っていた黒のカバンから、葉山美織と記載された会社のネームホルダーが、確かに見えていた。

「いや、でも……」

男性が、悪戯っ子のように笑った。

「行き先一緒だから」

男性が、ワイシャツのポケットから、ネームホルダーを取り出した。

そこには、

竹林(たけばやし)製薬株式会社 営業 待野雪斗(まつのゆきと)

と、記載されてあった。

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