壊れるほどに愛さないで
「あ、美織、大丈夫だった?」
竹林製薬、営業第二エリアチームの事務所扉を開けると、デスクでお弁当を広げているた同期の、綾瀬和が、卵焼きを頬張りながら、出迎えた。
「あ、うん」
「聞いてよ。営業は、みーんな、昼食べに行って直帰、明日は、新しく異動してくる人の歓迎会だしね」
営業マンは、みんな営業で出払っていて、昼食後、外来診療を終えたドクターとの面談後、業界柄、直帰ことが多い。営業マンの不在の間の電話の取り継ぎや、営業マンが、ドクターと面談する時の資料やプレゼンのラミネート、卸先の薬局の納品伝票の作成等が、私達、営業アシスタントの主な仕事だ。
「へーっ、広いですね、さすがここら辺で1番大きい営業所だ」
私に続いて入ってきた、雪斗を見て、和が、箸で摘んでいた、ミートボールを、お弁当箱の中に落っことした。
「誰?」
「あ、えっと」
「初めまして。明日から、この第二エリアチームに異動になる待野雪斗です」
雪斗は、ペコリとお辞儀をすると、扉横の白いボードに視線をうつし、営業マンの名前が、連なる一番下にホワイトボードマーカーで、待野雪斗と書いた。