壊れるほどに愛さないで
「一緒に、はいろ」

耳元で囁く甘い友也の声に思わず、布巾で水分を拭き取っていた、マグカップを落っことしそうになった。

「あ、ぶなかった」

友也は、クスッと笑いながらも、その両腕を離さない。そして、更に、キツく私を抱き締める。

「どう……したの?」

やっぱり、友也は、いつもと少しだけ違う。

「記念日だし、たまにはいいじゃん」

「友也……先に入って」

付き合って三年経つが、友也とお風呂は一緒に入ったことがない。

友也に、胸の傷跡を見られるのも、自信のない小さな胸を明るい場所で見られるのも抵抗があった。だから、私は、セックスの時は、いつも部屋を暗くしてもらっていた。

「だめ……明るいから」 

「お願い」

いつもなら、こうやって少し口を尖らせたら、引いてくれる友也が、今日は引かないばかりか、やけに強引だ。

「本当に……恥ずかしいの」

「どうして?美織の綺麗な身体が見たい」

後ろを振り返ると、友也の瞳にまっすぐ射抜くように見られて、恥ずかしくなる。

頬を染めた私は、またキッチンのシンクに視線を落として、思わず友也から隠すようにして、胸元に手を当てた。

「ごめん。やっぱり、恥ずかしいよ、だって……」

「傷跡気にしてるの?」

「あんまり見て、いい気持ちはしないでしょ」 

「美織は、綺麗だよ。身体も心も」

どう答えていいのか、思案していたら、友也の唇が、私の首元から耳元へと、徐々に上がりながら触れていく。
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