壊れるほどに愛さないで
★「お願い、抱いて」

桃葉のキスは甘い。  
甘いけれど、苦しくなるキスだ。

俺は、どうしたって桃葉の気持ちに応えてやれないから。何度か唇を重ねてから、俺は、桃葉を反転させて、ソファーに組み伏せた。

「雪斗、優しくして」

桃葉の、ねだるような甘い声に、今日、会ったばかりの葉山美織の顔を重ねそうになる。

(俺は、マジでどうかしてるな……)

シフォンのブラウスのボタンを外せば、淡いピンクのレースの下着が浮かび上がる。

俺は、そのまま、ブラのホックを外しながら、桃葉のスカートの中に手を入れて、足の間から指を滑らせていく。

「あ……雪、斗……電気消して」

「俺は、たまには明るくてもいいけど」

「待っ………あ」

指先をショーツの中に入れてしまえば、桃葉の甘い声が一層大きくなった。

「ンッ……だ、め……やぁ」 

「力抜いてて」

「雪斗っ……や……あっ……アァッ」  

桃葉の腰が一瞬大きく浮き上がり、痙攣する。

俺は、リモコンでリビングの電気を消すと、避妊具の封を切って、すぐに桃葉の中に入った。

電気を、消してもまだ、美織の顔が脳裏を掠めそうになる。

俺は、桃葉を何度も突き上げ、夢中で腰を振った。

全てを忘れるように。
この瞬間だけでも。


だって俺はーーーーもう誰も愛せないから。

この時の俺はまだ、知らなかったんだ。

また誰かを心から愛してしまうことを。
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