壊れるほどに愛さないで

「元が、雪なら、スノードロップも食べれんのかもな」 

あの時、俺の初恋のあの子に伝えていたら、なんて言っただろう。

見上げた、白い天井から、黒色の長い髪を揺らす、彼女の声が聞こえて来る。

『雪斗、スノードロップの花言葉知ってる?』

『?知らないけど?何?』

『希望……そして慰めだよ』

『ふぅん』 

花言葉に興味なんてない俺の顔を見ながら、彼女は、クスッと笑った。

『……雪斗が、この花を見るたびに、未来への希望と、心が優しくなれるような、心があったかくて包まれるような気持ちになれますように』


「美野里……」

最後に、美野里と見に行ったのは、確か彼女が好きだったコスモス畑だった。

隣では桃葉が、静かな寝息を立てている。  

(美野里……俺は……)

もうどうしたって届かない、彼女の名をもう一度心の中で呼んでから、俺は、静かに瞳を閉じた。
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