壊れるほどに愛さないで
「ただいま……」

美織の待って居ない部屋は、電気をつけてもやけに暗く感じる。僕は、新聞をデスクに置くと、寝室の電気をつけた。

ネクタイを放り投げると、ベッドに沈み込む。

「美織……」

僕が、美織に送ったスマホのメッセージは、未だに既読にならない。

新聞の記事を見たからだろうか。

僕は、鼓動の早まる心臓を落ち着かせようと、深呼吸した。

美織にはあまり夜は出かけて欲しくない。美織に何かあったらと気が気じゃないからだ。

僕は、スマホの液晶画面に美織の名前を浮かべるとタップした。

……5回、6回目のコールで、ようやく彼女の小さな声が聞こえてきた。


「美織?」

『あ……うん、友也……どうしたの?』

ーーーーどうしたの、か。

美織は本当は、分かってる筈だ。

僕が、今日も美織に会いたいと思っている事を。

それでも、そう僕に訊ねるのは、美織は、僕に会いたくないという事だ。
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