壊れるほどに愛さないで
(え…………?) 

スマホの液晶画面に浮かび上がっている文字は、非通知設定。

「美織さん?」

「誰だろ……」

ただの間違い電話だろう。それなのに、震え続けるスマホが、何故だか怖くてたまらなくなる。

「貸して」

雪斗は、私からスマホを取り上げると、スワイプした。

「もしもし」 

私も耳を澄ますが、相手からの返答はない。

「もしもし?聞こえてます?」

雪斗は、スマホを耳に当てたまま、私を見て、首を振った。

そして、すぐに、雪斗は、スマホから耳を離した。

「無言だったし、急に切られた」

「……そっか、間違えたんだね。きっと……」

「ならいいんだけど。とりあえず戻ろ」

雪斗は、当たり前のように、私の掌を握ると、店の二階へと階段を登った。

< 72 / 301 >

この作品をシェア

pagetop