壊れるほどに愛さないで

『いつ帰る?やっぱり迎えにいくよ?』

迷った末に、22時頃、美織に送ったラインの返事はない。歓送迎会は、そろそろ終わる頃だろうか。

僕は、再度電話をかけるのは躊躇われて、僕は美織のアパートの玄関前にきていた。美織の家に来るのは久しぶりだった。いつも当たり前のように、美織は僕の家に来てくれていたから。

廊下から見える、キッチンの小窓は、真っ暗だ。

(まだ帰ってないのか……)

インターホンを鳴らすが、勿論、応答はない。 

スマホを見れば、23時回っている。僕は、美織に自分の部屋の鍵は渡してあるが、美織の部屋の鍵は貰っていない。いつか美織の方から、美織の意志で、僕に渡してほしくて、本当は、合鍵が欲しいことを、僕からは、伝えたことはなかった。

僕は、玄関先に座り込むと、夜空を見上げた。

こうやって夜空を見上げるのは、いつぶりだろうか。

「美織とも、4年目か……」

その年月は思っていたよりもずっと早くて、幸せだった。

美織がいつの間にか、僕の心の隙間を埋め尽くしていることに気づく。残酷に切り裂かれた心の破片は、散らばったままだと思っていたから。

いつからだろうか。

散らばっていた破片は、美織が、いつの間にか、くっつけてくれて、僕の心の形そのものになっていた。

夜空には星が瞬いて、満月が優しく穏やかな光を仄かに放っている。

ーーーー美織に会いたい。

もう誰も愛せないと思ってた。 

だから、僕には美織しかいないんだ。

誰にも渡さない。

『友也……大好きだよ』

「僕も美織が好きだよ」

美織の声を思い出しながら、僕は、そのまま瞳を閉じた。
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