壊れるほどに愛さないで
「できたっ」
私は、二人掛けのダイニングテーブルに、お味噌汁と鮭を焼きおにぎりを並べて、剥いたばかりのリンゴを置いた。
シャワールームの扉が開いて、友也の足音が、聞こえてくる。
「友也、珍しいね、朝からシャワーなんて」
「昨日、汗掻いたまま寝ちゃったからさ」
「……それは私もかも……」
「美織は、いつもいい匂いだよ」
昨日は、友也に抱かれながら、途中から記憶がない。頬を染めた私を見ながら、友也は、唇を引き上げた。
「それに、先に寝ちゃった美織の腕枕は、僕のお役目だからね」
智也は、お気に入りのドット柄のエプロンを外している途中の、私の真後ろに立つと、そのまま抱きしめた。心臓が、小さくトクンと鳴って、私は振り返れない。
「……えと、友也?どしたの?」
「可愛かったな」
「何が?」
きょとんとして、少しだけ振り返ろうとした私を制止すると、友也が、私の耳元で囁いた。
「美織のこと。僕さ、美織が寝ちゃってからも、しばらく寝顔見てた」
「え?」
ようやく、緩められた腕から体を反転させると、友也の大きな瞳が、子供みたいに細められる。
「いつまで見てたの?」
「夜中1時すぎまでかな」
「恥ずかしいなぁ……もうっ」
「恥ずかしいの?僕、毎回美織が泊まりに来るたびに見てるけど?」
「嘘でしょ?」
目を丸くした私を眺めながら、友也が、おでこにキスを落とした。
「遅寝は三文の徳っていうでしょ?」
「それは、早起きでしょ」
「美織の寝顔みて、抱きしめながら、こっそりキスもできる」
「ばか」
私達は、朝から顔を見合わせて笑った。