壊れるほどに愛さないで
「……ごめん、電話、美織さんだから、あ、非通知なら、俺出るから」

「あ、うん」

私は、慌てて、起き上がると画面を確認する。

「美織さん?やっぱさっきの?」

「ううん、大丈夫……」

私は、液晶画面に表示された名前を見て、一瞬迷ったが、スマホをスワイプした。

『美織?』

聞き慣れたその声に、思わず固まっていた。
友也の声が、酷く疲れて掠れていたから。

『美織?今どこ?』

まだ雪斗に触れられた場所が熱いまま、私は咄嗟に嘘をついていた。

「あ……和の家に泊めてもらってて……」

『そっか……連絡とれなくて心配だったから』

友也の声と同時に、雑音が聞こえてくる。

「……いまどこ?」

『僕は、家だよ、安心したから切るね、起こしてごめん』

ーーーー違う。友也は、多分、私の家の前だ。
何時間、家の前で私を待ってくれていたんだろうか。

「あの……私……」

『また金曜日の夜に話そう、待ってるから』

友也は、そう言うと、私の返事を聞かないまま電話を切った。

「彼氏?」

暗くなったスマホを見つめたままの私に、雪斗はそう言うと、目の前にしゃがみ込んだ。
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