壊れるほどに愛さないで
「ちょ、待って……何だよっ、これ……」

雪斗が、便箋を取り上げると、何度も目でなぞっている。

「はぁっ……はっ……」

呼吸が、どんどん苦しくなって、指先が痺れてくる。

「美織?美織!」

雪斗は、私をデスクの椅子に座らせると、私の顔を覗き込んだ。

「苦しい?!大丈夫?」

声が出ない。 

呼吸が、うまく出来なくて海の中で溺れてるみたいだ。私は、雪斗のジャケットの裾をぎゅっと握りしめた。

「ゆき……はぁっ……はっ……苦し」

雪斗は、少しだけ、私を様子を観察すると、すぐに、私の身体ごと抱きしめた。

「大丈夫だから……息吸い込みすぎないように、ゆっくりで大丈夫だから」

雪斗は、子供をあやすように、私の背中をトントン摩る。 

「雪、斗……」

「大丈夫、側にいるから」


どのくらいそうしていただろうか。抱きしめられた温もりと雪斗の鼓動に安心して、少しずつ呼吸は、楽になっていく。
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