壊れるほどに愛さないで
土曜日は、雪斗と展覧会を見に行く約束をしてしまっている。

私は少し迷ってから、『日曜日にいくね』と返信をした。友也の家に行かない週末なんて初めてだ。  

すぐに既読になる。

『どうしても会いたい』 

思わず、その文字を目でなぞって、友也が昨日、私の家の前で朝方まで待ってくれていたことを思い出す。 

「美織さん」 

左横を見れば、電話を終えた雪斗が、こちらを伺っていた。

益川チームは、営業マンは皆、出払っていて、私と雪斗だけだが、隣の工藤チームには、和のほかに、恭平含め、数人の営業マンが、パソコンに向かっている。

「あ、何ですか?」

「この病院のドクターへの資料が欲しいんですけど、発注して貰ってもいいですか?」

「わかりました」

雪斗の隣に椅子を少しだけ移動させて、パソコンの画面を覗き込む。手元のメモ帳に品番を控えて、雪斗のデスクから離れようとした時だった。

「今日ご飯いこ?」

私の手首を雪斗の大きな掌が、捕まえた。
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