六月の月に愛を誓う。
階段を下りていく梨花に声をかける。


「ありがとう、いつも私の味方でいてくれて」


梨花は驚いたように一瞬目を見開いてから、照れくさそうに笑った。


「当たり前でしょ、親友なんだから」


そっか。答えはすごく、シンプルだったんだね。



「なに、話って?」


放課後の誰もいなくなった教室で、呼び出した律希が目も合わせずに冷たく言ってきた。


「ごめん、急に呼び出しちゃって…」


訪れた静寂に、校庭から聞こえてくる野球部の掛け声がやけに大きく聞こえた。


「…私は、律希と過ごす毎日が楽しくてこんなに私を好きになってくれる人ともう二度と出会えないって、そう思ってた」


ちゃんと言わないと。

逃げ続けてきた分、私だけは目を逸らしてはいけない。
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