六月の月に愛を誓う。
6.ばいばい
「逃げたんだ」


梨花の鋭い言葉に思わずびくりと体を震わす。


「美緒が今していることは、自分の本当の気持ちを知るのが怖くてただ逃げてるだけだよ」


誰もいない屋上前で、梨花と体育座りをしながら昨日の出来事も含めて全て打ち明けたところだった。

梨花に捕まった挙句、答えるまで尋問をされたおかげで五限はサボってしまった。



「…私は、律希と別れたくない。だけど、再会してから絢斗のことを忘れられていない自分がいることにも気づいちゃって、こんな私が律希の隣にいてもいいのかなってそう思ってる…」

「美緒はどうしたいの?いいとか悪いとか、そんなの関係ないよ。美緒は誰の隣にいるのが一番幸せだと感じるのか。それが一番大切なんじゃないの?」

「…え?」

「誰を好きとか忘れられないとか、そんなのどうっっでもいいの!私は美緒が一番好き!だからこそ、美緒にはこれが幸せだと信じられる道を選んでほしい。美緒はどんな幸せを望んでいるの?」


私が望む…幸せ?


「あ、チャイム鳴っちゃった。さすがに終礼は出ないとだよね。戻ろっか」

「…梨花!」
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