エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 飛行機は日本に近かったものの、東京までは少し距離があったので大阪の空港に緊急着陸した。
 近くの病院までは昴さんと里穂さんが空港に待機してもらっていた救急車で付き添った。

 私も手続きを済ませタクシーで病院まで追いかけていくと、里穂さんがひとりで手術室の前にいる。
 私を見た里穂さんは泣き腫らした顔で立ち上がった。

「香澄さん……」
「大翔さんと昴さんは……?」
「他の先生が手いっぱいで……旦那さんまで処置に入ってくれていて、今手術中です」
「そうですか」

 里穂さんの手は震えていて、思わず握りしめる。

 ふと『仲のいいおじいちゃんとおばあちゃんがいて、よく手を繋いで歩いてるところみかけて、ふたりであんなふうになれたらいいなって話してるんです』という里穂さんの言葉を思い出した。

 患者さんの家族や恋人は、当たり前に感じていた未来がなくなってしまうかもしれないという恐怖の中で待ってるんだ。
 里穂さんを見ていて、そんなことを思った。

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