エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
昴さんは息を吐いて耳元で囁く。
「巻き込んですまなかった」
「巻き込まれたなんて思ってないです」
「香澄の一年前の怪我のことだって、全部……」
突然、そんなことを言われてドキリとした。
「け、けがは、私が勝手に怪我しただけです」
「怪我をした時に一緒にいたのは、辻中さんだろ」
「何度も言ってますが、辻中さんにけがをさせられたんじゃないんですよ。辻中さんが落ちそうになって、つい」
辻中さんは、私の二十の誕生日にホテルで遭遇し、病院に就職してからも何度か病院で顔を見かけたことがあった女性だ。
そんな辻中さんが病院の階段から落ちそうになって、私は思わず彼女をひっぱり、その勢いで自分だけが落ちたのだった。
自分でもちょっと間抜けだったなと思う。
「つい、であんな怪我して運ばれてくるな。心臓がいくつあっても足りない」
「そんなふうに思ってくれたんですね」
私が苦笑すると、さらに抱きしめる腕に力が籠った。