エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 私がむっとしていると、兄は続ける。

『案外お前は、本音や大事なことほど俺にも言わないことも分かったし』
「そんなことないと思うけど」

 でも、家族だからこそ、なんとなく言えないことってあるのかもしれない。

「あ、でもね。旅行中に味覚が戻ったの」
『……え?』
「不思議なんだけど、急に」

 私が言うと、電話口で小さく鼻をすする音が聞こえた。

『よかったな……』
「うん。ごめんね、心配かけて」
『やっぱり昴といる時だったんだな』
「え? あ、うん」

 私が言うと、また兄は黙り込む。
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