内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
卓也が椿姫に心を揺らす心配はしていないようだ。

嫉妬ではなく家族仲を気遣ってくれるいじらしさに胸打たれ、卓也はたまらず腰を落として果歩に口づけようとした。

それを双子に邪魔された。

新はスーツのジャケットのボタンを引きちぎろうとして、芽依はよだれまみれの手でワイシャツの襟を握る。

「わっ、パパはこれからお仕事なの。汚しちゃ駄目」

慌てて双子を卓也から離そうとする果歩の肩を掴み、卓也は強引に唇を奪った。

チュッと音を立てて唇を離すと、真っ赤な顔の果歩が照れくさそうに目を泳がせる。

「スーツが……」

「汚れたら着替えればいい。顔を上げて。もう一回」

二度目のキスをしようとしたら、「おい」と不機嫌そうな声をかけられた。

ネイビースーツを着て黒革の鞄を提げた果歩の兄が居間から出てきて、眉を寄せる。

「俺の前でいちゃつくな」

果歩はますます赤くなりうつむいているが、卓也は笑顔で言葉を返す。

「すみません。では背を向けてもらえますか? お兄さんの後ろでします」

「冗談に応えている時間はない。俺も出勤なんだよ。お前も急いだらどうだ」

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