内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「そうですね。駅まで話しながら一緒に行きましょう」

「断る。先に行くか、後ろを歩くかにしろ」

まだ結婚の許しはなく、初対面で殴られたこともあり、卓也にとって果歩の兄は怖い存在だ。

しかし果歩と子供たちをこれまで助けてくれた彼には恩を感じており、なんとか気に入られたいと思っている。

この三日間、寝食をともにし、果歩と子供たちと過ごす様子を見てもらったことで少しは信用してもらえたと感じているが、完全に受け入れてもらえるには椿姫の件をクリアする必要がある。

果歩の兄が先に玄関を出ていき、卓也はドアが閉まってから果歩の唇と双子の頬にキスをした。

「行ってくる」

「いってらっしゃい」

最近、バイバイを覚えた双子が小さな手を振ってくれて、卓也は果歩と顔を見合わせ微笑んだ。




時刻は十五時三十五分。

本社で報告や会議などのすべきことを終えた卓也は、エレベーターを待っていた。

扉が開くと甘ったるい香りが強めに漂ってきて、眉をひそめたくなるのをこらえて乗り込んだ。

先に乗っていたのは女性社員で、卓也に気づいて驚いた顔をした。

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