内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
警戒して片足を引いたら、彼は懐から名刺入れを出して一枚を差し出してきた。

(山内法律事務所の弁護士、飛島(とびしま)さん。どうして弁護士さんが私に? 家賃も光熱費も税金も払っているし、トラブルを抱えていないのに)

心当たりはないが、知らないうちに誰かに迷惑をかけてしまったのだろうかと考えてオロオロする。

果歩の考えていることを読んだのか、彼が淡白な声で言う。

「ご心配いりません。私は吉川卓也さんの代理人弁護士ですので」

「えっ、卓也さんの?」

そう言われて不安は解けたが、まだすべてを理解できない。

卓也がなぜ弁護士を雇う必要があり、果歩のもとに向かわせる必要があるのだろうかと疑問に思い、首を傾げた。

「あなたにお話があります。この後にご予定はありますか? 十五分もかからずすみますのでお時間をいただきたい」

「は、はい。帰るだけなので構いませんが……」

(お昼に卓也さんと電話して日曜日に大事な話があると言われたばかりなのに、弁護士さんからなんの話が?)

わけがわからぬまま近くの商業ビル内にある喫茶店に連れていかれた。

そこは初めて入る店で、昭和レトロな趣がある。
< 31 / 157 >

この作品をシェア

pagetop