内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
六席のカウンターとボックスタイプのデーブル席が四つ、ふたり掛けの丸テーブルが三つあって通路は狭い。
ガラスシェードの明かりがついていても照度が足りず、薄暗さを感じた。
「いらっしゃいませ」
白髪交じりの髪をオールバックにした六十代に見える店主が、飲み物をトレーにのせて運びながら声を張り上げる。
「お好きな席へどうぞ。今日は私しかいないので、色々と遅くなります。すみませんね」
店内には四組の客がいて、空いているテーブルに下げられていないコーヒーカップや皿が置かれたままになっていた。
きっといつもはもうひとり店員がいるのだろうが、急に休むと連絡されたのかもしれない。
忙しそうな店主を気の毒に思う果歩は、「ゆっくりでいいです」と大きな声で返事をした。
本当は手伝ってあげたい気分だが、さすがにそれはお節介だろう。
飛島は果歩を横目で見てから無言で通路を進み、奥の窓際の四人掛けボックス席に腰を下ろした。
その向かいに果歩は緊張から背筋を伸ばして座る。
「飲み物はなににしますか?」
飛島にメニュー表を渡され、豊富なドリンクメニューの中から三十秒ほど迷って選ぶ。