内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
(私が庶民中の庶民だから、気を使って言えなかったのかも。卓也さんは優しいから。それに今、知ることができたんだからいいじゃない)

数秒して動揺を鎮めた果歩に、飛島が事務的な声で言葉を続ける。

「肩書に惹かれての交際かと思っていましたが」

「違います。私は卓也さんの人柄が好きなんです。お金目当てじゃありません」

これにはムッとして強く反論したけれど、興味が薄そうな目を向けられただけだった。

「そう怒らずに」と気持ちのこもらない声でなだめられる。

「どちらにせよ結論は変わりませんので」

飛島が黒革の手提げ鞄から白い封筒を取り出した。

長財布ほどの大きさで厚みがあり、中には四角く平らなものが入っているようだ。

「お受け取りください」

テーブルの上に置いた封筒をこちらの方へ押し出されたが、嫌な予感がして触れるのをためらった。

「これ、なんですか?」

「三百万円入っています。これで吉川卓也さんとの交際関係を円満に終わらせていただきたい」

目を見開いた果歩は、一瞬言葉を失った。

大きな衝撃を味わったけれど、到底信じられる話ではなく、首を横に振って声を絞り出す。

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