内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「意味が、わかりません……」

「そうですか。ではあなたでもわかるように言い直します。この手切れ金を受け取り、ごねずに恋人と別れてください。それが吉川卓也さんの願いです」

(卓也さんが私と別れたいと言ったの……?)

いつも言葉や行動で惜しみなく愛情を伝えてくれる卓也の、大人な微笑みを思い浮かべていた。

昼休みに電話した時の、弾んだ彼の声が耳に残っている。

(私と別れたい素振りは少しもなかった。この人は嘘をついている)

童顔では迫力不足だが、果歩は精一杯表情を厳しくした。

「嘘です。今日のお昼、私は卓也さんと電話で話しました。日曜日にレストランに行こうと誘われたんですよ。大事な話があるからと。それなのに別れたがっているはずありません。あなたは本当に卓也さんの弁護士ですか?」

疑いの目を向けたが飛島に焦りはなく、真顔でじっと見返されてこちらが動揺する。

「証拠というには足りないかもしれませんが、今はこれくらいしかありません」

そう言って内ポケットからスマホを取り出した彼は、画像を表示させて果歩に向けた。

「吉川卓也さんのご実家で写したものです」

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